やっと渡せた。 辰馬は自分の席に戻っていく。 ホッと胸を撫で下ろした。 でも、クラスの女の子何人かがわたしに近寄ってきた。 「ねー。今何渡したの?」 「?ペンだよ?欲しいって言ってたから…」 「鈴野さんって優しいんだね。」 「え…。そうかな。」 そう思われるんだ。 好きな人に物をあげるなんて始めてで…。 辰馬、喜んでくれたし。 今、わたし。 すっごい嬉しい。 あの辰馬の満面の笑みを思い出して、わたしはそう思った。