絢斗くんは、いつもの優しい顔で
笑いながら、手を広げて、

「おいで、由美。」

なんていうもんだから
私は嬉しくて、絢斗くんの胸に飛び込んだ。

絢斗くんは、初めは、やんわり
包むこむように抱きしめてくれたけど、
しだいに息が詰まるくらいに
抱きしめてくれて、
少し痛いけど、その痛みが私が必要と
されているという気がして、
嬉しかった。

そんなとき、風が吹いて、桜の花びらが
散り始めた。

まるで、私たちを歓迎してくれてるような、
そんな、気がしたの。