広い屋敷の最上階。
殺風景な部屋の真ん中に巨大な鳥籠がぶら下がっていた。

鈍く光る鉄格子の中には真っ赤なドレスを着た少女が無骨な足枷で繋がれている。


疑問は無かった。


生まれた時からずっと鳥籠の中。
日の光を浴びることもなく、金持ちの物好きな男に観賞用として飼われていた。

毎日大勢の人間を連れてきては少女を見せびらかす男。


人並み外れた美しさのせいで、少女のセカイにあるのは男達の情欲に塗れた視線だけ。


名前も知識も感情も与えられず、男のペットとしての生活。
彼女は余りに無知だった。

だから彼等がやってきた夜も、恐怖に支配されることなくぼんやりと事の成り行きを観察していた。