[完]大人の恋の始め方






目が覚めると汗をびっしょりと、かいていた。



「杏里、平気か?」



よほどうなされていたのか、優斗さんはあたしの頭を撫でながら、優しい目で見つめる。



あたしは、そんな彼に抱き着いた。




なんで、こんな夢をみてしまったのだろうか。



こんな、残酷なこと、あたし一人じゃ、絶対包み込んであげられない。



「怖い夢でも見たのか?」



「優斗さん…、あたし、なんて言ってあげたらいいの…」




きっと、友美はショックを受けるはずだ。



そんな彼女を、あたしはどう支えてあげたらいいの…?



「杏里。それは、杏里にしか出来ないことが、あると思う。

だから、俺は何も言えない。

それに、今は自分のことを心配しろ。まだお前、すごい熱いぞ」



……もう、グチャグチャだ。



あたし、もうどうしたらいいか、分からないよ…。




そのまま、あたしの意識は途絶えた。




「んん…」



目が覚めると、そこ真っ白な空間。



少しくせのある、薬品の匂いがする。



……ここは、病院?



腕を見ると、点滴が入れられていた。



「お、目が覚めたのか」



カーテンが開き、優斗さんが中に入ってくる。



「あたし、なんで…?」



「気絶したんだよ。まじ焦ったわ」



優斗さんの手には、2本のお茶。



「とりあえず、飲めよ。

俺は先生呼ぶから」



渡されたお茶を受け取る。



「…有り難う」