背を向けて走り続けていると、後ろに人の気配。ああ、この気配は。










ふっと小さく笑い、その場に止まる。後ろの気配も私に合わせて止まった










「あ、追いかけてくれたんだね?」

「…ッ、私、は」












女性のような美しい顔が歪む。細い腕は刀を握ったまま、腕どころか指も動かない。












「…__君。」

「な、んだ」










誰よりも優しくて、優しいからこそ残酷な君へ










「私ね、貴方に殺されたくない」

「ッ」

「ごめんね、私を信じてくれたのに」










忍ばせておいた小刀を見せて笑った












「…へへ」

「ま…ッ!!!」












彼が手を伸ばして駆け寄ろうとしたときに私は刀を突き刺した。











貴方を裏切った事実を持ちながら、私は年を重ねたくない












「**!!!!!!!!!」












目を見開いた彼が駆け寄るのと、私が膝をつくのはほぼ同時














―優しい貴方が何よりも―











(大切だから、私の死を背負って生きないで欲しい)