恋結び【壱】





―――…


入試も終わり結果が出て、晴れ晴れとした気持ちだった。

「自由だー!!」

あたしは友達の美波と花恋と三人で教室でお話をしていた。

あたしを含めた三人は、同じ高校に進学できる事になったのだ。
それも今日が発表日で。

あたしたちの受験番号が書いてあり、大喜びをしたのは先程のこと。

学校に報告に行き、そのまま自分たちの教室へ来たのだ。


誰も居なかったから、大笑いしても、問題ない。

二人とも、性格もよく、頭もよくて、何より可愛い。
そしてあたしは花恋と美波とは決定的な違いもあった。

「で、花恋、彼氏とはどうなの?」

「えー?人に聞く前に自分が言いなよ、美波」

二人とも彼氏持ちなのだ。
花恋は大学生の兄の友達が彼氏で年上。
たまたま家に来て向こうが一目惚れだったらしい。
美波は花恋と違って年下なのだ。
今中2でバスケ部に所属している。
女子バスケ部の美波だから好きになるのもわかる。
背の高かくて、何より爽やかな彼に惹かれ、美波から告白しようと思ったが、彼に先に言われたらしい。

二人とも幸せ真っ最中なのだ。

それであたしは過去の事があり、彼氏を作ることが嫌になった。
中1でいきなり先輩から告白され付き合ってみたが、向こうから別れを告げた。
向こうはただ欲求を満たしたかったらしい。
それを聞いたあたしはその人が怖くて仕方がなくなった。

それっきり、彼氏は作らないと決めていた。


―――だけど。


「よっ」

突然、クラスでも人気者の雅也が、教室に入ってきた。
それを反射的に見た花恋と美波は、「どうかした?」とか「今、男子禁制」と、冷たく雅也をあしらうのだ。

一方雅也は「いいじゃん、俺も混ぜてよ」などと、眩しいくらいの笑顔を見せていた。

ドクン。

あたしの気持ちは揺れていた。

雅也はあたしを見て、「ぁ…」と呟いた後、いきなり口付けをしてきた。

「「え」」

当然だろう。
花恋と美波は驚いていた。
あたしも驚いていたが、ただ固まることしか出来なかった。