鍛えられたような身体。
華奢そうに見えて実は男らしい。
抱かれた胸から感じる熱。
遥とはまた違った温もり。

あたしは赤くなどならないでただ冷静さを保って翔太くんに鋭い言葉を吐いた。

「離してよ、エロ本男」

「んなっ!!」

ちょうど翔太くんの腕から力が抜け、あたしはスルリと抜ける。
そして障子を勢いよく開け、縁側を通して入り込む風を吸って足を一歩踏み出した。
そしたら背後から翔太くんの声がしてあたしは一時停止をする。

「これは友達の忘れもんだよ!」

「…」

「なんで俺が美月以外の裸を見ねぇといけねぇんだよ!!」

「…」

「興味ねぇよ!!美月以外の女の裸なんか!!」

「うっ、うるさいよバカ!」


あたしは振り返り翔太くんに怒鳴り付けた。


「…ぁ…」

「~~っ…」


徐々に赤くなった頬。
眉を寄せ、唇を噛み、俯く。
翔太くんがそんな事を考えているなんて思ってなかったから、こんなに真っ直ぐ本音を言われて恥ずかしかった。

もう、恥ずかしくて顔が上げられない。

「…わ、悪い…」

「…ばか」


あたしは翔太くんの部屋を出て障子を閉めた。
そして自室に行き閉めきった障子を見ながら膝を付き、両手で顔を覆った。


「……あたし、何ムキになってんだろう…」


微かに熱くなった胸を落ち着かせ、あたしはカーディガンと携帯を持ち障子を開け、玄関に向かった。