一瞬だけ、命をください

『陸にお土産買ってくるね』

『よろしく』

『それじゃ』

潮は病室を出た。私が守るから諦めてはいけない。
そう言ったものの、自信がなかった。

オーストラリアに行くなど強がってみたが、本当は怖かった。

今はあんなに元気だけど、明日は違うかもしれない。いつ急変してもおかしくない環境の中、彼は必死に生きている。

入院して強くなった。少しだけ。

『潮!どうだった?成田、元気だった?』

『うん。元気だったよ』
それ以上、何も言えなかった。
だって、さっきまでこらえていた涙が、急に流れ出したのだから。

『潮…?』

『陸が…陸が死んじゃったらどうしよう…千早…私、どうしたらいいのかな?』

千早には、言いたかった事、全て言えた。
それだけで心の中がスッキリした。

『大丈夫。成田には潮がついてるんだから』

潮の泣き声は陸に聞こえただろうか。

心の声が届いただろうか。

その時、陸がカーテンを開けた。