視聴覚室で練習をしていると、知らない人影がドアの窓から見えた。


もしかして……


私の胸が、急に騒がしくなる。



ドアが開くと同時に、答えが耳に入ってきた。


「柏木先輩!!」


数人の二年生が嬉しそうに駆け寄って行った。



あの人が、柏木先輩…。



私の胸の高鳴りは頂点に達した。


柏木先輩が、私の目の前にいる。


栗色の髪に白いシャツを着て、

優しく微笑んでいる。



あの人が


ずっと憧れてた先輩。


私をここに導いてくれた先輩。


あの音色を胸に響かせてくれた先輩…。