好きだった。



大好きだった遼ちゃん。





七歳の私は、


近所に住む二つ年上の遼ちゃんが好きだった。




遼ちゃんは、お姉ちゃんのクラスメイト。


負けん気で、いつも元気に笑ってた。



そして…いつも私に優しかった。







「もう大丈夫だよ」



近所の子供たちで隠れんぼをしていると、急に雨が降り雷が鳴りはじめた。


遼ちゃんは雷が怖い私のところへすぐに来てくれた。





「だって‥怖いんだもん」


泣き止まない私の頭に、大きなふきの葉を乗せてくれる。



「これで大丈夫」


笑った遼ちゃんの髪は、雨でべしょべしょに濡れていた。





鬼だった遼ちゃんは何度もこの木の前を歩いてたのに、

私に気づいてないふりをしてくれてたんだね。






木の葉が雨から私たちを守ってくれて


遼ちゃんは雷が鳴り止むまで一緒に唄ったり、楽しいお話をして笑わせてくれた。