夏休みだというのに、校舎には特別講習に来ている制服姿が多く見られる。


グラウンドでは、陽に焼けた野球部員が汗を流し走っていた。


私と麻衣子は、教室の窓からその景色を見ながら話をした。

麻衣子に、嶌田部長とお姉ちゃんとが付き合ってることを伝えたんだ。


傷つくってわかってたけど、話さなきゃいけないと思った。


私ならやっぱり言ってほしい…

そう思ったんだ。



麻衣子は「やっぱりそうだったんだ…」って笑って言った。


お祭りでお兄ちゃんがネックレスを買う時になんとなくそんな気がしたんだって。


その時のお兄ちゃんの顔は、好きな人を想ってる顔だって思ったって…。



「でも良かった。お兄ちゃんが好きになって人が葵のお姉ちゃんで」

潤んでた瞳をこすって笑いながら言う麻衣子。


「そうかな?お姉ちゃんてけっこう冷たいよ」

「やさしいよ。だって葵のお姉ちゃんだもん」


麻衣子は私の肩にもたれて、青い空を見上げた。


やさしい麻衣子。

本当は泣きたいはずなのに。


あのお祭りの時も、自分のことより私を心配してずっと手を握っててくれた。



いつか麻衣子の恋が実りますように……。



私、絶対応援するからね。

今度は、私が力になるからね。