私と麻衣子はすぐに信汰の後を追った。

後ろからは疑問の声が聞こえてくる。

「男が好きってこと?」

「恋したことがないだけでしょ?」



信汰、大丈夫?

歩いてる信汰の隣に並んで顔を見た。


振り向いた信汰は、いつもの信汰だった。


「だから女はいやなんだよ」

鼻に皴を寄せて笑ってみせる。


「私たちだっていちよ女なんですけど~」

「失礼しちゃうわね」

「あっそうだよな、忘れてた」



三人で笑って並んで歩いた。


自然とCD屋さんではなくゲームセンターに足が向いて、

三人で小銭が無くなるまでいろんなゲームをした。


信汰とは、言葉ではなく一緒にいることでお互いを思いやれる関係。


それが自然なことで、私たちにとっては当たり前のことだった。



初めて声をかけてくれた、あの時から。