小川 遼……





遼ちゃんが…


どうしてここにいるの…?




「なんで‥‥?」


やっと見つけた言葉だった。



やっと見つけた言葉に返ってきた言葉は

「俺、パートリーダーだから」




あっけらかんとした顔で答える遼ちゃんの右手には


私が憧れているトランペット。





「よろしく」


笑顔の遼ちゃんがいる。



本当に遼ちゃんなの……?





私はまだこの事態を直視できないでいた。


遠くで麻衣子が心配そうにこっちを見ていることがかすかにわかる。




「トランペットは隣の教室で練習するからついて来て」





歩きだした遼ちゃんの背中を見ながら頭の中を整理する。






整理する…




整理する……





遼ちゃんの背中が



消したはずの記憶を甦らせた。