嶌田部長は、やっぱり…っていうふうに息を深く吐いて話し始めた。


「あいつとは高校からのつき合いだから昔のことはよくわかんないけど‥

小学生の時に親が離婚して中学時代はけっこう荒れてたらしいんだ」



離婚のことは誰かから耳に入ってたけど、遼ちゃんが荒れてたなんて知らなかった。



「高校で俺が初めて会った時もまだ荒れてたんだけど、柏木先輩っていう人が遼を弟みたいにかわいがって、その頃から少しずつ変わってきたんだ。

…上手く言えないけど、俺には今もあいつは変わり続けてるように見える。

だから、何があったかはわからないけど、もう少し待ってあげて」





私の時計は、遼ちゃんに突き放された時のままだった。


だけど、遼ちゃんは違ってたんだね。

いろんなことがあって、簡単に時間をくっつけることなんてできない。




嶌田部長の優しい微笑みと、一緒に泣いてくれた麻衣子に救われた。



その日の夜は、赤く腫れた目を麻衣子と並んで冷やしながら寝た。


胸が痛くて眠れないと思ってたけど、瞼が重たく閉じていく。




朝を迎えると、また鋭い痛みが甦るだろう…。


朝が来るのを恐れながら、私は深い眠りに入った。