「葵、そんなに試験の出来がよかったの?」

「なんで?」

「さっきからニヤけてるから」


信汰に言われて慌てて両手で頬を挟んだ。


「私、ニヤけてた?」

「うん、気持ち悪いくらい」


自分では全く気づいてなかった。



今日からまたトランペットが吹けること、

遼ちゃんに会えるのことが嬉しくて…



恥ずかしい。

私、こんなに顔に出やすかったっけ?


「葵は本当に顔に出やすいね」


麻衣子が笑って言うと、信汰が不思議そうに首を傾げた。


そうだ、試験で忙しかったから信汰には私が遼ちゃんを好きなことまだ言ってなかった。



なんとなく話すタイミングをつかめないまま音楽室に着いてしまった。