ミーティングが終わる早々、いやな空気が流れだした。


二年生のホルン、種田先輩の高い声がいやでも耳に入ってくる。


「信汰クン、やっぱりメンバーに入れないんだね。斎藤より上手なのに残念ねェ」



そんなこと言っちゃっていいの!?

斎藤先輩ここにいるんだよ!?



信汰は黙って楽器の準備をしてる。



「信汰、メトロノーム持って来て」

この空気を察知したのか!?‥奥の教室から嶌田部長が顔を出して叫んだ。


ナイス!嶌田部長!!



「はい!」

信汰はメトロノームとトロンボーンを持って嶌田部長の所へ行った。



斎藤先輩は、不機嫌な顔で何も言わず出て行った。


種田先輩はホルンを準備しながら鼻歌なんか歌っちゃってる。




「信汰、種田先輩に狙われちゃったね」

こそっと麻衣子が耳元で言った。



やっぱり…そうだよね。

なんだかこれからややこしくなりそう‥。



だって信汰は女を好きにならないし、

たぶん、斎藤先輩は種田先輩のことが好きだから。



茶髪でけっこう口の悪い斎藤先輩が、種田先輩には口応えしない。



きっと、好きだからなんだと思うんだ。