夜、麻衣子から電話があった。


『急に二人がいなくなってびっくりしたよ』

『ごめんね』


心配してくれる麻衣子の声を聞いて、

今の自分の気持ちを正直に話した。



遼ちゃんを好きな自分と、傷つくのを恐れてる自分がいること。

悲しい顔をした遼ちゃんを初めて見たこと。

守りたいって思ったこと。

それから、遼ちゃんとお姉ちゃんが付き合ってるかもしれないこと。



麻衣子は相槌をうって、最後まで私の話を聞いてくれた。


『一緒にがんばろう!』



麻衣子の言葉が胸に染みた。




そして、麻衣子の告白を聞いた。


『私ね、お兄ちゃんが好きなんだ』




驚いた。


お兄ちゃんを好きなのは前から知ってたけど、

私の知ってる『好き』とは違う『好き』だったから。



『苦しくない?』って聞いたら予想外の言葉が返ってきた。


『苦しくないよ…。だって、好きなんだもん。』




麻衣子は、純粋に『好き』な気持ちを大切にしてるんだね。



ただ‥『好き』


それだけのこと……。




なんだか昔の自分と少し重なってみえた。




お互い眠くなるまでいろんな話をした。

こんなに長電話をしたのは初めて。


友達の力ってすごい。

話してるうちに前向きな自分になってきたの。



明日からは逃げずに前へ進める…

そんな気がしたんだ。