今日は初めての演奏会。



頭の中を今日のことだけに集中して、今までがんばってきた。


だから、あまり遼ちゃんとお姉ちゃんのことを考えずにいられた。





本番前、私たちは控室でチューニング(音合わせ)をしている。


「高い」

私が音をだすたび遼ちゃんがチューナーの波形を見て「高い」と言う。


何度もチューニング管をひろげ音を低くしようとするけど合わない。




もう~、今日に限ってどうして音が合わないの!?

お願い!!いつもみたく鳴ってよ!



私はトランペットに念じた。



焦りと緊張で、手が汗ばんでくる。