遼ちゃん……。





私の足は動かなくなった。



サブローが吠えはじめ、慌てて家の中に入った。






遼ちゃんだ。

あの声は絶対に遼ちゃん。



どうして?

近所だから偶然会ったの?

学校の買い出しとか?
 



それとも……



お姉ちゃんの彼氏って…

遼ちゃん?




ていうか…

どうしてこんなに焦ってるの?






私、過去に縛られてるのかな…。


だからこんなに動揺してるの?



また遼ちゃんを好きになって苦しい思いをするくらいなら、

いっそ彼女がいることを知ってふっきれたい。



そしたら迷うことなく前に進める。



お姉ちゃんだって彼氏ができて幸せだよ。

妹として喜ぶことじゃない。





全てがうまくいく。




なのに…



どうして苦しいの?

どうして逃げたの?




また同じ思いはしたくないよ…。




私は、溢れそうな想いにフタをした。