「こんにちは」

遼ちゃんのお母さんが声をかけてくれて、私は少し緊張しながら挨拶をした。


「こんにちは。はじめまして、私、北島葵といいます」


「はじめまして。葵ちゃんのことは何度か遼から聞いてるから、一目で葵ちゃんってわかったわ。本当にかわいいわね。
これからもよろしくね」


「はっはい、こちらこそよろしくお願いします!」



遼ちゃんは、赤くなった顔で緊張してる私を見てくすっと笑った。



うちの親に会った時もそう。

どうしていつも私ばっかり挙動不審になっちゃうんだろう。


遼ちゃんは余裕の笑顔で悟君を抱き上げた。



「悟、これからどこか行くとこだったの?」


「ううん。遼兄ちゃんを迎えに来たの」


「悟ったら、お兄ちゃんが帰ってくるのが待ちきれなくて、一人で家から出ようとしたのよ」


「遅くなってごめんな。けど、一人で出たら危ないんだぞ」


「はーい。ねえ、お姉ちゃんが葵ちゃんっていうの?」


遼ちゃんに注意された悟君は、返事をした後すぐに私に話しかけた。


「うん、そうだよ」


「お兄ちゃんね、この前寝言でお姉ちゃんの名前言ってたんだよ」


「こら!嘘つくな!!」


「嘘じゃないよ!」


顔が真っ赤になった遼ちゃんは、抱き上げていた悟君を思いっきりくすぐった。



お母さんと私は目を合わせ、遼ちゃんと悟君の姿に笑った。



不思議と緊張感がなくなり、あっという間に親しみやすくなった。


悟君のおかげかな…。



四人で遼ちゃんの家と私の家の分かれ道まで歩いた。