「卒業、おめでとう…」

遼ちゃんの顔を見て言った。


遼ちゃんの制服のボタンは全部なくなっていた。



やっぱりあの子たちにあげたんだね…。


そう思った時、遼ちゃんがにんまりと笑って、私の掌の上に自分の右手を乗せた。



「ん‥?」


遼ちゃんは私の掌に何かを残して自分の手を避けた。



私の掌に残されたもの…


それは制服のボタンだった。



「俺の第2ボタン受け取って」

ちょっと照れくさそうに遼ちゃんが言った。



「ありがとう!すごい嬉しい!大切にするね!!」



諦めていた遼ちゃんの第2ボタンを貰えて、すごく嬉しかった。


遼ちゃん、私のために残してくれたんだね…。



遼ちゃんを抱きしめた。



「遼ちゃん、ありがとう」


「そんなに嬉しい?」


「うん、すごい嬉しいよ。女の子にとって好きな人の第2ボタンは特別だもん!」


「そんなふうに言ってもらえるなんて、俺ってすげー幸せ者だ!」




遼ちゃんに抱きついてる私を、

遼ちゃんはぎゅっと抱きしめてくれた。