卒業式が終わると、廊下は三年生に声をかけに行く後輩たちでいっぱいになった。


遼ちゃんも花束をもらったり、一緒に写真を撮ったりしてる。


その中に、目に涙をいっぱい溜めてハンカチを握りしめてる女の子たちがいた。



遼ちゃんに恋をしている子たち…。



すぐにわかった。

私もあんな目で遼ちゃんを見ていたから…。



きっと思い出に第2ボタンをもらおうとしてるんだ。



一生懸命遼ちゃんに声をかけようとしてる姿が、

いつかの自分と重なって見えた。




第2ボタン欲しかったけど、あの子たちが遼ちゃんに声をかけたら、きっと遼ちゃんはあげちゃうんだろうな…。




私には遼ちゃんとの素敵な思い出がいっぱいある。


私はその思い出だけで充分だよ…。



そう思いながら、遼ちゃんが戻ってくるのを遼ちゃんの教室の前で待った。