「葵、遅刻するぞ!」

「待って!」



雲ひとつない青い空の下、


今日、遼ちゃんは桜丘高校を卒業する。



昨日の夜の電話で、二人で思い出話に花が咲いて寝るのが遅かったから、二人して寝坊してしまった。




最後の学校への道を二人でゆっくり歩きたかったのにな。


それに、言いたかったことがあるんだ。


「遼ちゃんの第2ボタン、私にください」って。




だけど、今はそんな余裕ない!

早く行かなきゃ本当に遅刻しちゃう!!



「ほら!」


走ってる遼ちゃんが手を差し伸ばしてくれる。


私はその手をぎゅっと握った。




大好きな手。


遼ちゃんの微笑み…。




二人で歩いてきた道を、手をつないで走った。