真白な雪が降り積もる道。


遼ちゃんと一緒に歩く道。



寒い雪空の下、

遼ちゃんのポケットの中と、胸の中は春みたいに温かいんだ。




「もうすぐ卒業式だね」


「卒業か~。ずっと葵とこうして学校に通ってたいな。
葵と会ってからだよ、俺が学校好きになったの」


「私も遼ちゃんがいるから学校が大好きになったよ。
最初は戸惑ったけど、ブラバンで遼ちゃんに会えてよかった。
柏木先輩のおかげかな…」


「柏木先輩?」


「うん。柏木先輩の音色に憧れなかったら、きっと遼ちゃんとこんなふうになれなかったと思うんだ。
いつかきっと、柏木先輩みたいに演奏したい」


「そっか…。柏木先輩は葵の憧れ?」


「うん!あっ、けど好きとは違うからね!」


「わかってるよ」



遼ちゃんは笑って私の額を小突いた。