「遼、どういうこと!?どうしてこんな酷いこと‥」



「約束を破ったのは、あんただよ」




制服を着た遼ちゃんが、怖い顔で神崎先生に言った。




遼ちゃんは私の前に立ち、神崎先生に向かって話し始めた。



「今朝、和弘が来て全部教えてくれたよ。
昨日、あんたが和弘を脅して葵を襲わせたこと。

それに、二年前にあんたが襲われたのも、和弘を脅してやらせた自作自演だったってこともね」



遼ちゃんの低い声が、神崎先生の表情をさらに硬くする。



「あんた、約束したよな?

俺があんたの言う事をきいてたら、葵をいじめの対象にさせたり、手を出すようなことはしないって…。」



神崎先生の左頬がピクッと上がった。



「今度葵に手を出したら、あの画像をあんたのお父さんとお偉いさんたちに送るからな」


「こんなことして困るのは遼よ!
あんな画像が外に漏れたら、卒業だって出来なくなるんだから!!」




怯んだ声で言い放った神崎先生の声。


遼ちゃんがその声を消すように言った。




「先生、知らなかった?

俺、葵のためだったら怖いものなんてないんだよ」






遼ちゃんが握ってくれた手…




すごく温かくて




涙が出た…。