「サブロー、おはよう」

朝早くに目が覚めて、サブローに会いに行った。


最近、年のせいか食欲がなくなってるサブローが、ゆっくり小屋から出てきて私に寄り添う。



「元気ないね…。サブローの好きなクッキー持って来たよ」


サブローは匂いを嗅いだ後クッキーを食べた。


寒そうなサブローの小屋に毛布を入れると、サブローは気持ち良さそうに毛布に顔を擦りつけて眠った。




いつもより早く着いた教室には、既に女の子が数人いた。


「おはよう。朝は寒いね」


きっと、バレンタインのチョコを渡すために早く来たんだね。


普段あまり話さない友達に声をかけたくなったのは、

たぶん同じ想いでいるからなんだと思う。


胸の中がドキドキしてるから…。





私は教室の窓から遼ちゃんが来るのを待っていた。


だけど、始業のベルが鳴っても遼ちゃんの姿は見えなかった。





「小川先輩、どうしたんだろうね…」


心配して声をかけてくれる麻衣子。



「うん…。麻衣子は斎藤先輩に渡せた?」


「ううん。部活の後に渡すつもり」


「そっか、頑張ってね!」


きっと、麻衣子と斎藤先輩なら上手くいくよ…。

麻衣子にエールを送った。





昼休みになって、信汰に昨日買った一口サイズのチーズケーキを渡した。


「サンキュ」

そう言って信汰は麻衣子から貰ったチョコとチーズケーキをおいしそうに食べた。



「本命は何個もらったの?」


「ひみつ~」


信汰の鞄は今朝よりもパンパンになっていた。