恐怖が消えなくて、夕食はほとんど食べれなかった。



男に襲われたことは誰にも言えなかった。





「作らなきゃ…」



時計が12時を回った頃、私はやっと動きだせた。




家族がみんな寝てる中、台所の電気をつけて遼ちゃんに渡すトリュフを作る。




チョコを溶かしてると、


応援してくれてるみんなの顔が浮かんできた。




そして、遼ちゃんの顔…。






溶けていくチョコレートのように、


温かい思いが恐怖を溶かしてくれた。






予定より少なくなった3つのトリュフを、
水色の箱に入れてピンクのリボンで結んだ。





明日、遼ちゃんがこのチョコを受け取ってくれるといいな…。



受け取ってもらえなくても、想いだけは伝えたい。



遼ちゃんが好きですって言いたい。





初めて告白するような気分だった。




胸のドキドキが止まらない。






遼ちゃん…






私は、遼ちゃんを想いながら眠った。