「最近良いことあった?」


「え?‥なんで?」


「音が変わったから‥気持ちが音に表われるんだよ」


「べ、べつにないよ」


遼ちゃんはそっけない私の返事を聞いて、そのまま曲の練習をはじめた。




ドキッとした。


否定してる気持ちを読み取られたようで焦る。


認めたくないのに…

音が告白してるみたいで恥ずかしい。



やだ‥顔が熱くなってきた。


赤くなってるのが自分でもわかる。



遼ちゃんには絶対こんな顔見られたくない。

バレてないかな…




恐る恐る遼ちゃんの顔を見た。




わっ!目が合っちゃった!



「ん、なに?」

遼ちゃんは、周りの音から声を聞き取れるように上半身を私に近づけた。



そっそんなに近づかないで~!!


「なんでもないです!」


視点が合わないまま答えた。



心臓がバクバクしてる。

この環境体に悪いよ!!




遼ちゃんは首を傾げ、自分の椅子に姿勢を戻した。


‥かと思うと、もう一度私に近づいた。