遼ちゃんにチョコをあげるんだ。


そう決めてからの私は、遼ちゃんに出会った頃のように胸の中がそわそわしてた。




「あっ、やっぱり私これにする!」


たまたま開いたページにかわいい箱に入ったトリュフが載っていた。



がんばって作ろう!


受け取ってもらえたら、おいしく食べてほしいから。






この日から、夜は台所でトリュフ作りの練習をした。



「バレンタインに小川にあげるの?」


「うん」


台所で作っているトリュフを、お姉ちゃんが覗き込んで言った。


「これ‥何?」


「トリュフだよ」


「トリュフ!?あんた小川にいやがらせするつもりなの!?」


「ひど~い!本気で作ってるのに~!!」


「たくっ‥あんたは昔っから不器用なんだから」



お姉ちゃんが一緒に作ってコツを教えてくれる。



お姉ちゃんとこんなふうに台所に立つなんて不思議。

前は話すことも少なかったのに…。




お姉ちゃんが応援してくれてるのが伝わってきて、


すごく嬉しかった。