遼ちゃんと踊り終わると、神様のいたずらのように曲が終わった。


私は誰もいない校舎の裏に向かって走りだした。




苦しいよ…


苦しすぎるよ…


嬉しくて、嬉しくて…


こんなんじゃ遼ちゃんのこと忘れられないよ…。




泣いている私を後ろから強く抱きしめる温もりを感じた。


「信‥汰…?」



信汰が真剣な声で言った。


「葵…もう苦しむなよ…。
こんな葵‥放っておけないよ…」



驚いた私は何も言えず固まっていた。



「俺、ずっと葵のこと好きだったんだよ。
好きだったから…ずっと傍にいたくて女を好きになれないなんて嘘ついたんだ」



信汰の告白に驚いた。


信汰がずっと私を好きだったなんて…。



だけど信汰の気持ちが痛いくらいわかった。




好きだからこそ、


傍にいたいからこそ言えなかった気持ち。