遼ちゃんと踊り始めた私は、遼ちゃんの顔が見れず下を向いてた。


なのに感じてしまうんだ。



懐かしい


遼ちゃんの香り…


遼ちゃんの温もり…


遼ちゃん胸の音…




また泣きそうになる。


苦しいのに、嬉しいよぉ…。




そんな私に遼ちゃんが囁いた。

「髪…切ったんだね」



遼ちゃんの声は、別れる前と同じだった。


大好きな声だった。




遼ちゃんの顔を見ると、優しく微笑んでくれる。




その時気づいたんだ。



遼ちゃんの制服の袖から見える


蒼色の時計。






遼ちゃん、どうしてその時計を付けてるの…?



私が誕生日にプレゼントした時計。





『ずっと傍にいられますように』って


願いを込めた時計。