「二人はどういう関係なんですか?」

「関係?」

「さっき、三年生が話してるのを聞いたんです。二人は両想いだって…」



逃げない。

逃げちゃいけない。


遼ちゃんを信じてるから…

私、逃げないよ。




「そっか‥聞いちゃったんだ…。あなたには言わないでおこうと思ったけど…
これ以上隠しておけないわね、私達のこと…」




『私達のこと』


その言葉で二人の間に何かがあると感じさせられた。




「私と遼は二年前に私が教育実習でこの学校に来たときに会ったの。すぐに意気投合したわ。それで学校が終わった後も一緒に過ごすようになって、そのうちお互いを好きになっていった…」



神崎先生の言っていることが本当のことなのかわからなかった。


遼ちゃんから聞いていたのは教育実習で知り会ったことだけ…。

それ以上のことは何も聞いていなかった。


「教育実習生という立場で生徒と付き合うわけにいかないから、二人で約束したの。
自由に恋愛できるようになったら付き合おうって。
だから今回の臨時職が決まった時はすごく嬉しかったわ。まだ恋愛はできないけど遼に会えるって…」


神崎先生の顔が懐かしむように微笑んだ。



胸の中で遼ちゃんと見つめ合っているみたい…



やめて…


遼ちゃんを見ないで!!




「嘘よ!そんなこと遼ちゃん言ってなかった…遼ちゃんが私に隠し事をするわけない!」



「言えないのよ、あなたが弱すぎるから」


冷たい顔をした神崎先生が言い放った。