薄暗い理科室。


模型の骸骨とガラス瓶に入った得体の知れないは虫類達だけが、神崎先生と私を見ている。


神崎先生は少し赤い目をして、普段はかけていなかったシンプルな眼鏡をかけていた。


それが余計、私に大人の魅力を感じさせた。



私の視線が眼鏡にいくと、神崎先生は髪をかき上げて言った。


「普段はコンタクトなんだけど、最近‥ちょっとね…」


泣き疲れた目だった。

私も同じ経験があるからわかる。

夏祭りの夜、泣き疲れた私の目も同じような目をしてたから。



「北島さんから話しかけてくれたの初めてね。
私、北島さんに嫌われてるのかと思ってたから嬉しいわ。話って何?勉強のこと?」


「いえ…。遼ちゃ‥小川遼のことです」


「やっぱり…そのことね」



神崎先生はもう一度髪をかき上げ、

強い眼差しで私を見た。



私はその眼差しに負けないように手を握り締め、神崎先生に言った。