学校祭の準備でにぎやかな校舎は、

お化粧をされたように教室ごとに紙花や看板で華やかに飾られていく。


私のクラスはメイドカフェをすることになり、手作りのメイド衣装や校舎内に貼るポスターなどでもはや喫茶店のようになってる。


三年生は、この時期は休息をとるように表情が柔らかくなる。


先生たちも静かにしろって注意しながら、実は胸をワクワクさせて明るい顔をしてるんだ。





そんな中、時々痛い視線を感じることがある。


いつからだろう…。


遼ちゃんと付き合いはじめたばかりの頃、遼ちゃんのことが好きだった人たちが影からこっそり痛い視線を送ってきたことがあったけど、


それとは違う。



いくつもの敵意のような鋭い視線が、まっすぐ向けられてくる。



名前も知らない二年生の女の人たちの視線。




もしかしたら、遼ちゃんのことが今でも好きで私を嫌ってるのかもしれない。


もしそうだとしたら、私はこの状況に耐えなきゃ。


だって、遼ちゃんを好きな気持ちがよくわかるから…。



私がその人たちと同じ立場になっても、やっぱり遼ちゃんのことを好きでいると思う。


辛くて苦しいけど、やっぱり忘れられないと思う。


そういう思いをしている人たちの中で、私は遼ちゃんと付き合ってるんだもん。


今の幸せを感じながら、そのことも忘れちゃいけないと思うんだ。



それにね、遼ちゃんがいれば痛い視線なんかへっちゃらだよ。


遼ちゃんの想いがある限り、私はどんなことでも耐えられる。




遼ちゃんの誕生日を迎えてから、私の遼ちゃんへの想いはこれまで以上に強くなった。


不安なこともあったけど、夢に向かって輝いている遼ちゃんを見て、

私も強くなろうってもう一度心に決めたんだ。



あの言葉を聞くまでは、そう思ってたんだ…。