帰りのバスの中で、遼ちゃんと私はいろんな話をした。



おじいちゃんは、昔はとても頑固であまり笑顔を見せない人だったとか、


おばあちゃんが作るかぼちゃ団子は凄く美味しいんだとか…。


家に帰ったらお父さんたちに、高校卒業後おじいちゃん家で修業をしたいことを話すことなど。




そして、今日知って驚いたこと。


遼ちゃんのお父さんが毎年お母さんの命日にお墓参りに来てたということ。


再婚した今も変わらずお墓で手を合わせて、遼ちゃんやみんなのことをお母さんに知らせてるんだって‥。



お父さんが今でもお母さんを大切に思ってることを知り、遼ちゃんは目に涙を浮かべた。


それは悲しみの涙じゃなく、喜びの涙だった。





「葵、今日は本当にありがとう。最高の誕生日だよ。
俺の夢もしっかり見つけられたし…全部葵のおかげだな!」


「そんなに褒められると照れちゃうよ」


照れ笑いをした私の髪に遼ちゃんが優しく触れる。

私はドキッとして目をまるくした。



「貰った時計、一生大切にするから」


そっと触れた遼ちゃんの唇が、とても温かかった。



忘れられない思い出が一つずつ増えていくね…。





遼ちゃんの誕生日の夜空は、たくさんの星たちが輝いていた。