赤とんぼが飛び回る夕暮れ時、

遼ちゃんと私はおばあちゃんと一緒におじいちゃんがいる家に向かった。



古びた大きな平屋のの家に入ると、おばあちゃんはどこからか、たくさんの饅頭や煎餅を木の器に入れて持ってきてくれた。


「若い子はケーキの方が好きなんだろうけど、おばあちゃん家にはこんな物しかなくて」


「私、お饅頭大好きです」


「そう‥?いっぱい食べてね」



おばあちゃんの小さな目が見えなくなっちゃうくらい、

おばあちゃんは嬉しそうに笑った。


透けて見えるほどいっぱいあんこが入った白い饅頭を私が口にすると、

おばあちゃんはもう一度嬉しそうに微笑みかけてくれた。



その笑顔がどこか遼ちゃんに似ているように思えた。




「おじいちゃんを呼んでくるからちょっと待っててね。
遼君と葵ちゃんを見たらきっと腰が抜けちゃうくらい驚くわ」


おばあちゃんが腰を上げると、遼ちゃんが声をかけた。


「おじいちゃん、家の裏の工場にいるの?」


「ええ、今も変わらず畳を造ってるのよ」



おじいちゃんて畳を造る職人さんなんだ…。

そういえばこの広い家の見渡す限りの床は、古いのに手入れをされて綺麗な畳がぎっしりと敷かれている。



「俺がおじいちゃんの所に行くよ」


そう言って、遼ちゃんは私をおじいちゃんのいる工場へ一緒に連れて行ってくれた。