「遼ちゃん、神崎先生と親しいの‥?」


「嫉妬した?」


笑って私の顔を覗き込んだ遼ちゃんの顔にドキッとした。


「嫉妬なんてしてないよ!」


「な~んだ。神崎先生とは二年前に教育実習でうちの学校に来た時に知り合ったんだ。啓介たちも知り合いだよ」


「そうなんだ…」


「あっ、やっぱり嫉妬してたんだろう?」


「してな~い!」


遼ちゃんの胸を叩いて笑った。




遼ちゃんに明るく手を振り、教室に向かった私の足取りが急に重くなる。




遼ちゃん、気づいちゃったよ…。


遼ちゃんの顔にくっきりと表れた右頬の笑窪。


『香織』と呼んだ遼ちゃんの声が消えない…。




私を彼女って紹介してくれたんだもん。


なんともないよね?


大丈夫だよね…?




遼ちゃんを信じてるのに胸の中で渦巻く思いがある。


消したくても消えない不安。




だけど決めたんだ。


私は遼ちゃんを信じてる。



もし神崎先生が遼ちゃんを好きでも、私達は変わらないよね?



そうだよね…?


遼ちゃん…。