「信汰、がんばってね!」

トロンボーンの斎藤先輩と金田先輩と歩く信汰に声をかけた。


「おう、まかせとけ!」

信汰が手を振り上げると、先輩達が笑って信汰の髪をクシャクシャッと力強く撫でた。


「北島、こいつ良い度胸してるんだな!」

斎藤先輩が叫んだ。


「はい!信汰は凄いですよ!!」


私の自慢の友達です。



ステージ裏の控室に入っていく先輩たちを見送ると、バスから最後に降りてきた遼ちゃんが走って会場に入ってきた。



「遼ちゃん、今みんな控室に入ったよ」


「そっか、俺も行かなきゃな」


慌てた顔で控室に向かった遼ちゃんが、途中で振り返り言った。


「葵、しっかり聴いてろよ。俺たちみんなの演奏!」


「うん!がんばってね!!」


控室に入っていく遼ちゃんの後ろ姿に、また胸を掴まれる思いをした。



真っ直ぐ前を見る迷いのない背中。



私の大好きな人…。



遼ちゃん、いつも見てるからね。

見守ってるからね。



遼ちゃんの勇気になれるように

遼ちゃんの元気になれるように



私、いつも遼ちゃんを応援してるからね。