遼ちゃんはこの事知ってたのかな?

今日、一緒にいたのに何も言わなかった。


言わなかったのは、今の私じゃ理解できないから…?


映画のラストシーンが思い出された。





突然の別れをすぐ側で感じた私は、自分たちが別れたわけじゃないのにショックが大きかった。


胸がそわそわし始めて、遼ちゃんから貰ったリップを握り締めた。



さっきまで元気だったサイダーの炭酸が、弱々しくコップの上へと浮き上がる。



ベッドの上に置いた携帯が、メール着信の合図を明るく響かせ

私は助けを求めるように慌てて携帯を取った。




『今日、すごい楽しかった。葵がいるから毎日楽しいけどね(笑)。今日は早く寝ろよ!おやすみ❤』


遼ちゃんからの初めてのメール。


メールが胸のそわそわを消してくれる。

そして最後のハートマークが私の胸を温めてくれた。



『私も。遼ちゃんがいるから毎日が幸せだよ。ありがとう。おやすみなさい❤』



お守りのリップと携帯を枕の隣に置いて眠った。





明日は私にとって初めての、

遼ちゃんにとって最後のコンクール。