きもだめしが終わり、宿舎の部屋に戻った。


靴を履き替えてる時、さりげなく私の頭を撫でた遼ちゃんの手にドキドキした。


布団に入ると、遼ちゃんとのキスを思い出して胸がキュンってなる。



夢じゃないよね?

朝起きて、実は夢だったら立ち直れないよ。


遼ちゃんの温もりを思い出すと胸が高鳴る。


私は胸に手を当てて、夢じゃないんだって確認した。




「葵、起きてる?」

隣の布団で横になっている麻衣子が顔を向けた。


「うん、起きてるよ。なんだか眠れなくて…」

「私も…」


小さな電球に照らされてる麻衣子の顔が赤くなってるように見えた。


私は麻衣子の布団に潜り込み、麻衣子の顔の隣にヒョコっと顔を出した。

「何かあったの?」

「うん。実はね…私、好きになっちゃったみたい…」


恥ずかしそうに顔の半分を布団で隠した麻衣子の瞳が照れてる。


「え…誰に?」

「斎藤‥先輩」

麻衣子が布団に顔をうずめて小さい声で言った。


斎藤先輩!?

あの不良っぽい斎藤先輩に恋したの?


今まで麻衣子が好きになった人たちは、嶌田部長みたいに優しくて紳士的な人だった。

斎藤先輩とは正反対のような人。