演奏が終わると、私達は手が痛くなるほど拍手をした。


先輩たちは、嬉しそうにほっと笑みを浮かべる。



その笑みが、どれだけのものを背負ってるんだろう。


去年までのプレッシャー…

卒業生の思い…

私たちの思い…


だけど、演奏することが好きっていう気持ちが一番大きいんだろうな。

だから、毎日笑顔で頑張れたんだと思う。



私も先輩たちのようになりたい。

プレッシャーを撥ね退けるくらいトランペットを好きになりたい。





林先生が、みんなに向かって言った。


「今日の演奏は今までで一番良かったぞ」


普段あまり誉めることをしない林先生の最高の誉め言葉。



先生、私知ってたよ。

いつも遅くまで残ってリズムの確認をしてたこと。

古いラジカセにイヤホンを付けて、毎日職員室で聴いてたこと。


先生もいろんな思いを抱えて頑張ってたんだよね。