私たちは、何もなかったように練習に戻った。


それには、かわいい理由があるんだ。


まさか、遼ちゃんがそんなことを言いだすとは思わなかったから、

すごく嬉しかった。




毎年恒例の合宿最後の夜のきもだめし。


「啓介が俺達のこと知ったら絶対一緒に歩かせてくれない!あいつはそういう奴だ!」


遼ちゃんが言うには、嶌田部長は優しい顔して時々意地悪なことをするらしい。


だから、合宿が終わるまで付き合い始めたことは内緒にすることにした。


麻衣子と信汰にはこっそり話したけどね。



「きゃ‥!!良かったね!本当に良かったね!!私…すごく嬉しいよ…」

麻衣子は思わず叫びかけた声を手で塞ぎ、私を抱きしめて泣いてくれた。


さっき泣きやんだばかりの私の涙腺があっという間に緩む。



信汰はすごく驚いてた。

「いつの間にそんなことになってたんだ!?」


驚いた信汰の顔が笑顔に変わるまでに時間はかからなかった。


「よかったな。葵が幸せだと、俺も嬉しいよ」


三人で微笑み合い、一緒に喜んでくれたんだ。




ありがとう。


二人がいつも私の傍にいてくれたから前に進むことができたよ。



本当に、ありがとう…。