赤いシャツを着た人が、私の前を立ち塞がった。

「ここの生徒?俺達試合がなくなって暇してるからちょっと付き合ってよ」


私の肩を容赦なく抱きよせる手から、煙草の臭いがすぐに鼻についた。


「私、部活中ですから」

メトロノームを握り締め、走り出そうとした時

もう一人の男の人が私の手を引っ張った。


「ちょっとくらいいいじゃん」

「やめてください!」


手を振り払おうとすると更に力を入れられる。

「痛い!」


痛みを感じた時、恐怖を感じた。


私の抵抗は空しく、どんどん連れ出されていく。



やだ。


怖いよ。


たすけて!



助けて、遼ちゃん!!