ゲームという言葉は便利なものだ。



「ゲームしようぜ」



コーヒーをテーブルに置き、太陽はにやりと笑った。

仮にも、私は客だ。

客に対して、その態度と言葉遣いはいただけない。



「やだ」



湯気がくねるコーヒーカップを眺め、きっぱりとお断りした。

この人の言うことに従うと、ろくなことにならない。



「今日、日付が変わる時までに俺に会わなければそっちの勝ち」

「やらないってば、そんなメリットの無いゲーム」



一緒に運ばれてきたミルクをコーヒーに垂らす。

ゆるく回る黒と白。



「あるぜ?メリット」



太陽が銀色の盆を抱えなおして笑った。