私は車から降りて 運転席側のドアの前に立つ。 「――それじゃあ、また明日。 おやすみなさい。」 予想以上に長い間 立ち話してしまった… 私が玄関の戸を開けようとした瞬間、 「楠さん!」 そう先生に呼び止められた。 何だろう……? 「さっき彼女居ますか? って聞きましたよね。 その質問に正確に答えときます。」 「えっ…?」 「彼女は居ません… だけど、彼女にしたい人は居ます。」 いきなりの発言に 開いた口が塞がらない。 そんな私を見て、 先生はクスッと微笑む。