楠さんの恋人!




「何…でしょうか?」

「直人は教師よ…
そして千尋ちゃんは生徒。
好きって気持ちだけじゃ
どうにもならない。
それでも千尋ちゃんは
直人を好きでいられる―…?」


――生徒と教師――

そこには普段は見えない
大きくて分厚い壁がある。

苦しい恋かもしれないけれど、

それでも私は――……

「叶えられない恋ってことは
最初から分かってた事です―…
でも、私の先生に対する気持ちは
そんな事くらいじゃ消せません。
どんなに苦しくったって……
私は先生を好きでいます…!」

それだけ言い残して
保健室を後にした―…





「ほんと…いい子ね千尋ちゃん。
あんたには勿体ないわよ。」


シャッ――


勢いよく
ベッドを仕切るカーテンを開ける。

「いい加減、出てきなさいよ。
盗み聞きなんて最悪。」

「…聞くつもりはなかったって。
寝てたらたまたまだろ。」

「まぁそうだけど。
でも嬉しくて仕方ないでしょ。

長谷川先生?」