「ねぇ、さお。さっきの約束覚えてる?」




珍しく梨子と二人で下校しながら喋っていると、唐突に彼女がそう言った。
その顔は何となく苦々しげだ。


「さっきの約束って?何かしたっけ」
「まぁ、したのは沙織じゃなくて由架になんだけど。」



その言葉に私はあっと声を漏らす。




竹井クンのことを調べる約束のことだろうか?






その反応で分かったらしく、梨子は話を進める。
「実は、まぁ、色々分かったんだけど・・・ちょっと由架には言えなさそうな感じなんだよね~・・」


その言葉で大体分かってしまった。
大方、彼女がいるとか、他に好きな人がいるとか、好きなタイプではないとかそんなところだろうか?




「まぁ、アンタだから言っておくと、好きな人がいるみたいでね~。しかもこれがまた厄介な。」
「厄介?・・・でも竹井クンが好きになるんだから、すごく可愛い人なんだろうね」



身長が低くて、童顔で可愛らしい竹井くんだ。
好きな人もそれに見合った可愛らしい女の子なのだろう。





でも私は由架の応援を諦めた訳じゃない。






恋なんて何があるかわからないのだから。



急に気持ちが変わることだって、きっとあるだろう───。






「でも、もう少し由架と仲良くさせてあげたいよね」
「そだねー。そもそも由架は何で竹のコト好きになったんだろ?そこを聞いてなかったし」


梨子が考えながら言う。
確かに、由架と竹井クンって接点がなさそーだ。





「ま、それは明日聞くとしてぇ・・・さおも頑張りなさいよっ!」





梨子が私にウィンクして笑った。
私が恋愛、か・・・









漫画やドラマの世界では、恋をしている人は楽しそうだ。
なのに私はどうだろう?






きっと彼らとは、住む世界が違うんだ。






だから私には、まだ早いお話。