「そいえば、カナさんって好きな方とかいないんですの?かわいいので...。」
私がほめながら聞くとカナさんは意外と単純だった。
「ん?カナはね、今いいなって思ってる子がいるの!」
「その子って...?」
楽しそうにしゃべるカナさんに直くんのことをしゃべるそうになって危なかった。
「1年生の城戸直くん。椿さんも一緒のクラスだよね。」
「はい、存じております。でも、直くんには...。」
私はあえてそこで言葉を切った。
だって全部いったらあやしまれてしまいますもの。
「彼女がいる?...知ってるよ♪でも、カナはどうしてもほしいの。」
こぶしを作って握り締めた。
「そのためだったら何をしても構わないの。」
「何をしても。」
言葉を繰り返した。



