もちろん直がやったわけではないことは分かる。
「あ...りがと。」
「おう。」
受け取ってから長い沈黙が続いた。
先に口を開いたのは直だった。
「ま、お前には荒川ってやつがいるだろうから俺が探してやらなくても良かったか?」
意地悪そうに笑った瞳の奥には悲しさの色が見え隠れした。
ちがうよ...直。
荒川くんと、キスしてしまったけどそれ以外は何にもない。
「でも、俺は...。俺にはお前しかいないから。お前があいつのことを好きでも守らせてくれ。」
直は私のほうは向かずにつぶやいた。
「直...っ。わたしっ。」
涙が次々にあふれてきた。
「なんで、泣くんだよ。勘違いしちまうからやめろ。」
ポンポンと2回頭を撫でてから直は1人で帰っていった。



