「お前、わざとか...?」 にらむように城山を見た。 「えっ?違うよ、偶然だよ。...ってあ!」 俺は、城山の返事も途中までしか聞かず駆け出していた。 自分の右手を握り締めながら走る。 帰る人で混雑する道を抜ける。 ずいぶんと走り額に汗が浮かぶ。 夕方とはいえ夏の初めだ。 アスファルトに残る熱が大気に充満している。 「未瑠...。」 どこにいったんだろう? あいつ、また勘違いしてるな。